コレがオレのデジタルワールド!!長いよ略してコレオレッ!!

エクストラステージ3:Happy? Xmas


珍しい物に興味が湧くのは普通の事で、この世界に普通はいないオレ達人間はその珍しい物であり、興味の対象になるのは遅かれ早かれあるだろうと思っていたけど…。

まさかあんな事になるとは、誰も予想してなかったと思う。

「人間の世界について?そーだなぁ…12月にクリスマスって年末の大きなイベントがあって」

「クリスマス?ねーねーそれって何?何?」

ベットの上で寝転がっているタクトの上に乗っかりルーチェモンはがたがたと体を揺らしながら離れた椅子に座っているオレに聞く。ポジション的にタクトが美味しい気がするのは置いておこう。

「ルーチェモン…重いよ…」

「クリスマスってのは、12月の24か25日にみんなでわいわいして、サンタさんがクリスマスプレゼントを持ってくる日だ、よな?」

一応タクトに聞いて見る、間違った事を教えたら悪いし。ただタクトから帰ってきたのは唸り声だけだった、結構重そうだ。

「サタンサン?って何?」

ルーチェモン、噛んでるぞ。そいつじゃ大変だ。

「もぉルーチェモン、重いって!!ぐげっ!!」

うわぁ…クリスマスのサンタに興味が変わったルーチェモンはタクトを踏み台にしオレの前までひらひらと飛んで来た。

「あ、うーん、サンタってのはなぁ…」

ココまで目を輝かせるとは思わなかった。とりあえずお願いです、顔が近いからちょっと下がって下さい。

「白いひげ生やして、袋を担いだ赤い服着たちょっと太めのおじさんかなぁ」

ルーチェモンから開放されたタクトが上半身を起こしムッっとした顔でオレの変わりに答える。まぁオレの中のサンタさんのイメージもそんなもんだ。

「んで、袋の中には子供達が欲しがっているプレゼントが入ってるんだよ。それをメリークリスマスって言いながら配って行くんだ」

「ホォーーー!!!」

「でもね、悪い子にはおしおきするんだってさ」

へぇ、そーだったのか。

それからう〜ん、と考え込んだルーチェモンはこう言った。

「決めた!ルーチェモンはサタンサンになる!!」

いや、噛んでるから…。

「サタンかぁ、ルーチェモンにはまだ無理だよぉ、ねぇアスカ君?」

タクト、顔がにやついてるぞ。そんな顔をする時は大体危ない事しか考えてないんだろ。

「べぇ〜〜〜だ、絶対なるもん!!」

後々思った、やっぱりこの時止めておくべきだった、と。

「る…ルーチェモン様。今何と…?」

予想通りの反応だね、とルーチェモンの後をこっそり追跡したオレとタクトは落雷に撃たれた様に直立ぷるぷるしているロードナイトモンを見て笑った。ちなみにオレは落雷に撃たれた事は無いし、笑っているのはタクトだけだ。

「もぉ、だからぁ〜ルーチェモンはぁ〜サタンサンになるの!!」

次の展開を楽しみにしながら2人をじっと見ているタクト。そのタクトを見てオレは思った。やっぱりコレは止めるべきだ、と。勇気を振り絞り、一歩踏み出そうとした時。

「何をこそこそしてらっしゃるのですか?」

「う、うわぁ!?びびったぁ…」

急に後ろからオファニモンに声をかけられる、集中しすぎて全く気配に気づかなかった。まぁ普段でも気づかない気がするが…。

「しー、今ね、すごいいい所なんだから」

真面目に言うなよ。半分呆れて、半分後悔。今のが最後の止めるチャンスだったかもしれない。

「ル、ルーチェモン様、それは少々時期が早いのでは…もう少しですね」

「むぅ…ロードナイトモン何て知らない!!サタンサンにおしおきされちゃえ!!」

「!!!!」

言葉にならない叫びが、オレにはしっかりと聞こえた気がした。

途中参加のオファニモンは状況が上手く理解出来ていない様子だった。そこにタクトは簡単な説明をした。

「フフフ、それはそれは楽しそうですね」

アンタも同属か。

しかしココで気づくべきだった、2人のオーラの微妙な違いを…。

ぷんぷん、と怒りながら歩いて行くルーチェモンをオファニモンはオレ達より速く追跡する。

角から動くタイミング、ルーチェモンの予測不能な動きに対しての反応。どれもオレ達には出来ない物で、オファニモンがいなかったら追跡中にルーチェモンに見つかっていたかも知れない、いや、見つかって良かったんだけどね…。

「いやぁ、オファニモンに来てもらって助かったよ」

ひとしきり歩き回ったルーチェモンを見ながら歩き回ったオレ達は食堂で調査結果の報告だ。

大半はサタンサンって何?な反応で、恐らくサタンに反応したデジモンはロードナイトモンだけ、ウォーグレイモンなんか応援してたのがちょっと恥ずかしかった。

「まぁ、明日には忘れてるんじゃないかな?」

「だといいんだけどな…ハァ…」

なんだろ、オレすっげぇ疲れた。

「さてと、私は仕事があるので、失礼しますわね」

「あー、お疲れ…」

「タクトッ!!大変だ!!」

その日の夜、ロードナイトモンは慌てた様子でオレ達の部屋に駆け込んで来た。

「はぁ?ルーチェモンが行方不明?どこを探してもいないって」

「今は一時も目を離せない状態なのだ!アレから直ぐに監視員を5人もつけたのに…私も監視に回っていたのだがふとした隙を狙ったかの様に姿が見えなくなってしまったのだ…」

ロードナイトモンの言うアレって…やっぱアレだよな。

「別に…気にすんなよ…大丈夫だって」

「良い訳が無いだろ!!コレはデジタルワールド全域に及ぶ問題で…」

「ロードナイトモン!!」

急にタクトが大声でロードナイトモンを制止する。何だよ2人して大声出して。

「少し落ち着きなよ、ボク達も探すからさ、ね?」

「す…すまない、私とした事が…」

酷く落ち込んでいる様ですね。ただサタンサンの事は気にしなくても良いが、行方不明なのは気になる。オレもタクトの考えに賛成し、一緒に探す事にした。

その前にだ。

「クリスマス?サンタサン?勘違い?」

「そーゆー事、サタンは全く関係無し」

「まさか、タクトッ!お前が仕組んだな!!」

「な、何の事かなぁ…」

種明ししておかないと、ロードナイトモンが病気で倒せそうな気がした。

「しっかしあれだなぁ…よく監視員までつけたな、ロードナイトモン」

「う〜ん、そこまで及ぶとは…」

難しい顔をして反省しているのだろうか、反省してるならもうこんなのは止めてくれよ…頼むから。

ルーチェモン行方不明事件はボレロ全域に伝わり、一時大騒ぎとなった。

陸海空のデジモンが飛び潜り走り回りボレロ周辺へ、ルーチェモンの城からはデュナスモンまでが夜空を駆け巡ったと言う。捜索部隊の中には偶然メタルティラノモンXの集団と遭遇し、戦闘があった部隊もあった。

結局ルーチェモンはボレロ内でオファニモンによって発見された。見つかったのは良かった、ただルーチェモンは1人で何をしていたのかを聞くと硬く口を閉ざしたらしい。

あの夜で日付が変わったのかどうか解らないが次の日の朝の食堂。

「アスカ、昨日の夜事件が遭ったらしいですが、一体何が?」

「あ、あぁ…」

「いやぁ〜何だか昨日ルーチェモンに話しかけられましてね、すごい良い顔をしてまして私もいい気分になりましてね、ぐっすり眠れたのですよ」

「…不思議だよ、ウォーグレイモン」

「ハイ?」

「昨日ね、そのルーチェモンが行方不明になっちゃったのさ。まぁちゃんと見つかったから気にしなくて良いよ」

「えぇ、私だけ仲間はずれですかぁ…アスカぁ〜〜〜」

「いや…そんなつもりは…」

ウォーグレイモンが寂しそうにしているので説明しておく、と急に周りがざわつきだした。何だアレは?と言う声の中にカワイイーという声まで聞こえる。

「メリーーーーークリスマスーーーーー!!!」

「この声は…」

声の方向オレの後ろちょい上の方、そこには白い大きな袋を担げずに抱えて一生懸命に飛んでいるルーチェモンの姿があった。サタンサンのゲヘナはどーやら白い袋の様だ。

伸ばす所って、マとスの間ですよね。とウォーグレイモン、確かにそうかも知れない。

「ルーチェモンサンタモード…か…」

悪くないな、アレ。

「アスカ、顔がにやけてますよ」

「あ、え、マジ?」

食堂にいるデジモンに自分の姿を見せ付けると、ルーチェモンは中央に降り、袋の中身を配りだした。中身はクリスマスを意識したのか、ちょっと黄色で炭酸の入ったシャンパンの様に見えるジュースの入ったビンだ。全員に配るのであろうか、かなりの量が入っている。

「はい、メリークリスマス!!」

「あ、ありがとう…」

思わず抱きしめたくなるような純心無垢な笑顔だった。

「ん、アスカ。コレは何でしょう?」

ウォーグレイモンもルーチェモンからもらったビンを見て何かに気づいた。ビンのそこに白いテープが張ってあったのだ。

「あ、ホントだ、オレのにもある…D-16:1116…何だろ」

「う〜ん、何かの当選番号かな?ボクにはD-16:0322って」

「私はD-02:1116ですね…あ、1116はアスカと一緒ですよ!!」

「ボクだって16はアスカ君と一緒だもんねぇ!!」

そこ、張り合うな…。

配り終えたルーチェモンは真ん中でオレ達から聞いた人間の世界であるクリスマスと言うイベントを説明しだした。しっかりと覚えていたがやっぱりサンタさんはサタンサンだった。

「朝から炭酸ジュースって気が引くけど、まぁルーチェモンが折角皆に配ったんだし。飲もっかな」

「んじゃぁオレも」

きゅぽんと音を立てて栓を抜く、このビンをどこかで見ていた気がしたのを良く思い出しておくべきだった事を後で後悔する事になる。でも仕方ない、今回のは確かに美味しそうだし変な匂いもしない、しかもルーチェモンによる偽装工作まで行われていたのだから。

「シャンパンにしては、ちょっと違う様な…ぁ…じ………が」

「でも美味しいじゃん…タクト!?」

急にタクトが倒れる、オレの声でルーチェモンのプレゼントで賑わっていたデジモン達は一気に静まり返り、ビンの落ちたカタンという音だけが静かに響いた。まるでスタートの合図の様にも聞こえた。

「あれ…アスカが4人に見え…」

ウォーグレイモンまで倒れた、しかし既に周りにいるほかのデジモン達も数名倒れている様だ。

「倒れちゃうほどルーチェモンのプレゼント喜んでくれたんだ!嬉しいなー!!」

本気で喜んでいるルーチェモンが怖い。

まだ意識のあるデジモン達はやがてこの状況を理解しだした。オレも大体解って来た。

「なぁルーチェモン。お前実は昨日、ずっとオファニモンっと一緒にいただろ…」

「あは、当たりっ!!オファニモンがね、プレゼント何配ろうか悩んでたら手伝ってくれたの!!」

プレゼントはアレか、疲れも意識もぶっ飛ぶアレか。確かに日ごろの疲れが消えるのは嬉しいが、コレではまるで集団食中毒だ。疲れと意識がぶっ飛んだ後に恐怖を植え込んでどうする。でもぶっ飛んだ奴には関係ないか…そう言えばオレはぶっ飛んでないぞ。

「あら、アスカ君はハズレだったのですか…」

「ハズレって…」

真犯人オファニモンが不服そうな顔をしてやって来た。手にはノートとペンが握られていた。

「今回はルーチェモンに協力してもらう事で集団実験が出来ましたわ」

「やっぱり…、んじゃぁこのビンの番号は」

「アスカ君はD-16:1116ね…えぇ、あとで回収して効果を調べるために付けて置きました、ルーチェモンのおかげで張る作業も簡単に出来ましたの。D-16系列は結構自信があったのですが…残念ですわ」

「く…苦しい…助けてくれ…」

「あらあらロードナイトモン、効果が中途半端に聞いてしまった様ですね、あなたの番号は…D-15:0021ですか、確かにこの辺のはちょっと面倒だった様な…」

「やったー、サタンサンのおしおきだぁ!」

「る…ルーチェモン様ぁあ…!!」

良く解った、サタンはオファニモンだったんだな…。




続け!?









後書き

久しぶりに小説を真面目(*1)に考えた気がします。
さてさてこのねたはクリスマスネタのはずだったんですが、最後の方クリスマスじゃないような気がしますね、まぁいいよね。うん、いいよね。(*2)

実はこの小説25日にかかれました。朝の10時ごろから、そう、クリスマスだからです!ついでに完成は1350分(*3、4)

余裕で誤字脱字の発生率が上がってるんで。コレおかしいな、と思ったら自分で補完してください(ぁ

なんだかあとがき短くなりましたかね?
まぁいいか…

*1:コレでD輔は真面目なんです、多めに見てやってください
*2:よくねぇよな…普通
*3:D輔のパソコンの時計
*4:後書きを除く