コレがオレのデジタルワールド!!

ステージ8:次の日の話


「まさかこんな事になるとはな」

いつの間にか眠っていたタクトが目を覚ましたのはロードナイトモンの声が聞こえたからだった

「でも止めに入ってくれて良かったよ、きっとボクなら弾ききれなかっただろうな…」

目を覚ました場所が病室だった事には驚く事無く冷静に返事をする

「まぁこのロードナイトモンの美しい援護に感謝するんだな」

「(実際、守ってくれたのはウォーグレイモンだけどね)」

タクトはまだ自分の手の震えを感じながらベッドから上半身を起こす、ロードナイトモンは完全無視だ、ただアスカの力を調べるためだけにちょっと挑発しただけなのだが、段々と自分も本気になり、ついには完敗してしまった、ロードナイトモンとウォーグレイモンとオファニモンが止めに入らなかったら自分は今頃データの塵になっていただろう、今まで味わった事の無い敗北感、そこからさらに恐怖まで感じ始めた自分は、コレから彼と一緒に戦う事が出来るのだろうかと思わせる、今も横のベッドではアスカがぐっすりと寝ている、D−LINKからの疲れだとオファニモンが言っていた、ルーチェモンの情報では、一度だけD−LINKをしたと聞いた、だがそれは恐らくA2が使い方を教えるためにやった事、自分からD−LINKの力を使った訳じゃない、つまりあのD−LINKが最初といっても良い、そうタクトは考えていた

「段々強くなって来ていた、初めてにしては…あの強さは凄かった…まるで…アスカ君じゃないみたいな…」

「オーバーロードなのか?」

タクトの言葉に返事を返したのはウォーグレイモン、オーバーロードと言う言葉にタクトは少し笑いが漏れた

「流石だね、ウォーグレイモン、キミは何でも知っている、でもオーバーロードとは違う、オーバーロード発動中の相手から話なんか聞こう思わないし…」

「アスカ…一体どうなってしまったんですか…」

「タクトには無い症状だな、美しくない、醜い力に思えた」

「アスカ…酷い言われ様ですよ…」

ウォーグレイモンが悲しそうにアスカの顔を撫でる、それを見ていたタクトが聞こえない程度に笑う

「で、結局話は聞けたの?どうやらボクは途中退場だった見たいだけど」

タクトの言葉に2人とも黙ってしまう、どうしたの?とタクトが聞くとウォーグレイモンが語り始めた

「少し、お話でもしましょうか」

オファニモンが口だけ微笑みながら言ったのは少し前の話で、アレから何分かは硬直状態だった、何度かオファニモンが呼びかけるが全く返事が無いのだ、タクトが意識を失ったのはアレから直ぐで、ウォーグレイモンは直ぐにそれに気付きタクトを抱える、D−LINKの力の使い過ぎ、軽い過労状態だったのだ、あれから硬直状態を解いたのはアスカだった

「エターナル」

「…2人とも!!離れろ!!」

「くっさせるか!!アージェントフィアー!!」

微かなエネルギーを感じてウォーグレイモンが叫ぶ、アスカの技の発動と同時にオファニモンは離れたが、ロードナイトモンのパイルバンカーが火を噴いた、パイルバンカーによる0距離の攻撃、アージェントフィアーだ、背中に直撃を受けたアスカは前に吹っ飛び倒れこむ、ゆっくりと起き上がるとロードナイトモンを睨みつける、本能的に後ろに下がるロードナイトモン、だが逃がす事無くアスカがオメガブレードを突き出しながらロードナイトモンに飛びかかった、その危険を先に離れていたオファニモンが気付きアスカの攻撃を10個のクリスタル、セフィロートクリスタルが妨害した、ウォーグレイモンはタクトを抱えていたから動けなかった、動けなかったのには他にも理由がある

「アスカ…」

ウォーグレイモンにはただアスカを傷付けると言う事が出来なかった、寧ろアージェントフィアーを決めたロードナイトモンに攻撃を仕掛ける所だった、大したダメージが無さそうなアスカを見て安心すらしていた

「……………」

オファニモンの妨害を受けたアスカが標的をオファニモンに移す、翼を羽ばたかせ飛び上がったと思ったらアスカの体が光った、光が消えた時には翼も、オメガブレードも消えていた、どざっと音を立てて地面に落ちたアスカは、そのまま寝息も立てていた

「何だ、つまりキミ達は何も聞き出せなかったって事?」

タクトが半ばキレ気味で話す

「仕方ないだろ、アイツの体力が足りなかったのがそもそもの原因、私達に落ち度は無かった」

「貴方が素直に離れていたなら、まだ体力は持ってたかもしれませんわよ」

扉をゆっくりと開けて入ってきたのはオファニモン、さらにそうかもね、と笑うタクト

「ふん、全てはコイツの貧弱さが悪いのだ、それに別に良いではないか、十分に戦闘のデータは取れたのだろ?」

「まぁ、そうですけど、やはりこのオファニモン、気になりますわ、何と言ってもアスカ君のA2は」

「デジタルワールド最古のAncient Armsだからねぇ…」

「アラ、知ってましたの、タクト君は」

結局アスカはそのまま朝まで眠り、タクトもそのまま病室で寝た、ロードナイトモンとオファニモンはタクトが寝る前に研究室に篭った、ウォーグレイモンはもう少しアスカが目を覚ますのを待ってみます、と言い起きていた、朝、タクトが目を覚ますとウォーグレイモンがおはようと声をかけた

「まさか…ずっと起きてたの?」

タクトの問いにウォーグレイモンは優しく答えた

「もちろん、アスカが…目を覚ますまで待ってるつもりだったんですけど…」

「よく寝てるね…」

考えられない、昨日の激しいティラノモンXとの戦闘、それからあの夜の出来事、疲労はかなり溜まっているはず、それなのにウォーグレイモンはアスカのために寝る事無くずっと、何時起きても良い様にウォーグレイモンは寝ないで待っていたのだ、そんな中まだゆっくりと寝ているアスカにタクトは近づき

「早く起きろ、このバカッ!!」

顔面に枕を思いっきり振り下ろした、バフッ、と音がし、アスカが唸り声を上げる、枕をさっと退けタクトは自分の寝ていたベッドに戻る、布団を被ると同時にアスカが目を覚ました

「ふああぁぁ〜良く寝た…お?おっはよぉう、ウォーグレイモン!!」

ウォーグレイモンは一連の行動を眠そうな目で見ていた

「おはようござます…アスカ」

その後、ウォーグレイモンは幸せそうに眠った

「ウォ、ウォーグレイモンっ!!??」

おはようございますと言ってそのままオレの膝の上で寝てしまったウォーグレイモン、起こすのが凄く勿体無い気がしたがやはり起こさなければならない事になってオレが優しく起こした、するとウォーグレイモンは驚いて飛び起きてすいませんでしたと謝った、別に謝る必要は全く無いんだけどいつものウォーグレイモンかなぁ何て思った

「そう言えば、オレって何であそこで寝てたんだ?」

朝食で頭がやっとまともに動き出した頃、ふと浮かんだ疑問、いつもがあの病室のベッドだから最初は全く疑問にならなかった、そう言えば隣でタクトが寝てた気もする

「アスカが倒れたからじゃないですか、まさか私も、あの状況で倒れるとは思いませんでしたよ」

「えっと…それは…何時の話?」

「昨日の夜だよ、あそこまでして、まさか覚えてないの?」

タクトが隣にやって来た、ウォーグレイモンが今朝はありがとう、とタクトに言う、おぉなんだか仲が良くなっている?とりあえず昨日を思い出そうと頑張ってみた、戦闘が終わって会議があって、専用の部屋に案内された、それから…

「思い出し」

「ねぇねぇどうしたのぉ〜?」

折角思い出したのに急にルーチェモンがオレとタクトの間にぐいっと入ってくる、無理矢理感がバーゲンのオバちゃんに似ている、持ってた皿をテーブルの開いている場所に置く、中にはホットケーキ生クリーム特盛り、上にはイチゴが1つ置いてあった、そうかそうかホットケーキかぁ〜、いかんいかん、今はそんな話じゃない

「ルーチェモン、キミはいつも余計な事まで喋るから、キミには教えてあげないよ」

タクトが目玉焼きを乗せ食パンを口に運ぶ、パンのミミがぽろぽろ落ちる、教えてやってもいいじゃないか、ついでに詳しくオレにも

「いいじゃんいいじゃぁ〜ん!!」

「ダメ、ルーチェモンには絶対ダメ」

「けちぃ〜いいもん、ロードナイトモンに教えてもらうもぉん!」

顔を膨らませ可愛く怒ったルーチェモンは皿を持ち飛び上がる、バカァッ、と叫びならが何か投げた、それがタクトに当るちょっと前にオレは気付いた、ルーチェモンの手に皿が無い

「キャハハハッ、クリームまみれぇ!!」

「タ…タクト?」

「ルーチェモォォォン!!」

賑やかな朝の始まりだった

「それよりさ、タクト、お前もう大丈夫なのか?」

「へ、何が?」

朝食を済ませて部屋へ戻る時、ルーチェモンが割り込む前に聞きたかった事、昨日の夜のタクトの急変、メタルガルルモンの様に敵の洗脳を受けたのか、聞いてみるとタクトは思い出した様に、そうらしいけど今はもう大丈夫だよ、と返事をしてくれた、なら安心だ、ついでに昨日の影の事をタクトに聞いてみたら横にいたウォーグレイモンが何か言おうとしたのをタクトがワーと声を出して止めた、オレの耳には【ロ】と聞こえたのだが、よく解らなかった、何だか隠し事の様な感じだ、ウォーグレイモンが隠し事ってのがちょっとショック、部屋に戻ったら驚いた、立ち入り禁止のテープは張られていた、確かに壁に大きな穴が空いていたかもな、床にもダメージがあったはず、下の階は大丈夫なのだろうか、いらない心配をしていると部屋の中からセラフィモンが出てきた

「また派手にやってくれた様だね、データは見せてもらったよ、ウォーグレイモン、タクト君、ご苦労だった」

2人はいつの間にか仕事をしていたのだろうか、タクトはアレからずっと一緒だったはずだが、何の子とかセラフィモンに聞こうと思ったが直ぐに何処かへ行ってしまった、仕方なくウォーグレイモンやタクトに聞いてみたが教えてくれなかった、作戦内容は極秘なんだ、何て言われた、極秘任務とは羨ましい、オレだってコレからバンバン、D−LINKも使えるんだしな

「そう言や、オレ達って、部屋が無くなった訳だよな」

「すいません、私も…立ち入り禁止になっているとは思いませんでした…」

「調べる事なんて無いと思うんだけどなぁ…壁の修理かな?それより…」

「それより何だよ」

「いや…後で良い」

それからオレとウォーグレイモンはCLOSEの仕事に出る事になった、そう言えばオレってCLOSEの一員だったんだな、何て思ってみたり、タクトも入ったんだよな、パートナーはロードナイトモンだろうか、ルーチェモンだろうか、聞いてみたらタクトは何とボレロの防衛部隊に配属されていた、初登場でメタルティラノモンXをばっさばっさ切り倒していたのをセラフィモンが気に入ったと言う話だ、噂ではルーチェモンがそこに置く様に指示したとの話もある、ちなみにルーチェモンとロードナイトモンは城に戻り、そこをCLOSEの支部にすると計画している、結局ボレロから離れるらしい、残ったのはタクトだけか、もう一度デュナスモンを見たかった気がする

「って今日は何するの?」

ただウォーグレイモンについて行くのもいいが行き先が気になった、ウォーグレイモンは足を休めずに言った

「今日はケルビモンが帰って来るので、その護衛ですね」

「ケ…ケルビモン…ついにボレロに三大天使が集結するのか…美しい…」

「アスカ、ロードナイトモンじゃないんですから」

「んで、何処で待ち合わせ?」

コレは重要な話だ、何が重要かって?それはケルビモンと何処で待ち合わせかと言う事ではなく、ウォーグレイモンが方向音痴って事を忘れてはいけない事だ、オレがしっかりと場所を覚えなければならない、迷う訳には行かないのだ、ケルビモンにも速く会いたいしな、見た所場所はゲートを使うには近く、徒歩で行くには少し遠い場所だった、結局オレはウォーグレイモンの背中に乗ってその待ち合わせポイントまで飛んで行く事になった、一緒に飛んで行くと行ったら体力を消耗するからダメだと言われた、まぁウォーグレイモンの背中も悪くない、それからオレの見事なナビゲーションのおかげでオレ達は迷う事無く待ち合わせポイントについてしまった、もうちょっとウォーグレイモンの背中を満喫したかった気もする

「ココに間違いは無いよな…」

「はい、アスカの案内には間違いはなかったですよ…多分」

「あ、ウォーグレイモンッ、全く何処へ行っているのか解ってなかっただろ!!」

「えっ、そんな事…それよりケルビモン…いませんねぇ…」

そう、待ち合わせのポイントはばっちりなんだがケルビモンはまだ着いてなかった、オレが早く来すぎたのだ、特に気にする事無く待っているとケルビモンがふわふわと浮いて地平線の向こうから現れた、お供が見当たらない

「やぁウォーグレイモン、ココで交代だね、ん?キミは?」

ケルビモン、サイズにして3m弱と言った所、純白のボディが輝いている、優しい顔をしてオレを覗き込んでくる

「彼がアスカです、ボレロにはもう1人います、それより護衛はどうしたんですか?」

「ほぉ、この子が…、護衛なら、イガモンがその辺に隠れているんだが…恥ずかしがり屋さんの様で、大丈夫、もういいぞ」

ケルビモンが大きく手を上げる、護衛を解くサインだろうか、近くでがさっと音がすした、イガモンは姿を見せる事無く帰ってしまった

「すっげぇえ!!ケルビモンだっ、コレでボレロに三大天使がそろうんだな!!」

ついつい声に出てしまう、ウォーグレイモンがすいませんと謝っているがケルビモンは聞いた通り面白い人間だと言い笑った、それからオレ達は何事もなく無事にボレロに帰ること事が出来た、まぁケルビモンにオレのすっごい所を見せたかった気もするが…帰るとセラフィモンとオファニモンがわざわざ迎えた、何故か横にはムゲンドラモンもいる

「今日はココまでで終わりです、さ、アスカ、ちょっと遅いですが昼食にでもしましょう」

「ん、もうちょっと三大天使+無限龍の井戸端会議を見ておきたかったんだけど…まぁいいか、行こうぜ」

それからオレはウォーグレイモンと昼飯を食っていい感じな時間を過ごした、その後オレは、自分の部屋の壁の修理に回されて苦労の末についに自分の部屋で寝る権利を勝ち取った

「あ、アスカ君、聞いたよ、壁直すの手伝ったんだって?お疲れ様」

『でもベッドは譲らないよ』

その時オレは、タクトが後で良いと言った内容をココで理解した



続け!!







後書き
今回って何がしたかったんでしょうね…
まぁ…いいか(こんな作者でいいのか
前回感想下さった方、ありがとうございます、毎回付き合ってもらって
今回は楽しかったネェ!!なんちゃってぇ…
後書き
さて、今回は壁を直す話でした、凄かったですね、コキュートスブレス
ドラモンキラーも唸ってましたよ
疲れたときにはオファニモンでぶほああぁあ!!
後書き
えっと…あのデジモンって何のために出てきたんだろう…
全く、ネタ切れが伺えますな…

誤字脱字意見感想文句待ってます