コレがオレのデジタルワールド!!

ステージ16:OVERLOAD


鳴り響く警報、とても嫌な予感がする。

「アスカ?」

じっとしていられない。

「アスカ?聞いてます?」

何かが起きる。

「アスカ?おーいアスカー?」

顔の前をウォーグレイモンの手が上下する。ここでオレはやっとさっきからウォーグレイモンに呼ばれていた事に気づいた。

「あ、ゴメン…」

「らしくないですよ、何か悩んでるんだったら私を頼って下さい」

相談相手になりますよ、とウォーグレイモンはオレを心配してくれるらしい。そんなにオレは悩んでいますオーラを出してたのだろうか。

「気になるのは解ります、でも今は戦える状態じゃないです。大丈夫ですよアスカ、シールズドラモンだってバックアップについてますし、援軍としてロードナイトモンが出るらしいですよ」

「ロードナイトモンが!?」

「え…えぇ…」

急いでディメンションに走った時、ロードナイトモンは既にゲートに立っていた。

「ロードナイトモン!!」

オレの叫びに気づいたロードナイトモンこっちを向いた。が、直ぐに操作パネルに視線を移した。

「今の貴様は連れて行く事は出来ないぞ。言いたい事があるなら直ぐに言え、転送はもう始まっている」

どうやら待ってくれないらしい。でも構わない、一言、言う事に意味があるかどうかは解らないけど、今出来るのは多分コレくらいだ。

「タクトを………頼む!!」

「だから頑張れ、とでも言いたいのか。言われなくてもそうする、OVERLOADの発動も確認されている、気は抜けない。それに…彼はルーチェモン様の親友だからな、彼を失ってはルーチェモン様が悲しんでしまう」

ロードナイトモンは手を上げると眩しい光に包まれ、やがてゲートに吸い込まれる様に消えていった。

「D−LINK:OVERLOAD!!!」

タクトの声が響く、何かが起きた事を一番に察したのはカオスドラモンXだった。

「グゥウウ…」

素早く後退、距離を取った所でハイパームゲンキャノンを放つ。それと同時に男のパソコンが気づき、警報を鳴らした。

「この力…素晴らしい!!」

パソコンの示す数値を見て男が喜びの声を上げる。

「キミも人間だろう、デジモンの味方は止めて我々の計画に役立てるべきだ!!」

男の顔が狂喜で歪んだ。

放たれたハイパームゲンキャノンはどうなったかと言うと、OVERLOAD発動時に起きた強烈な衝撃波に阻まれ、その一瞬の衝撃波に阻まれている間に今度はタクトを大きく包み込むよ様に現れた赤い壁に阻まれ、そこに着弾し爆発した。

その赤い壁はゆっくりと左右に開いていく。赤い壁、それは巨大な翼だった。だがその翼の主はタクトではなかった。

「D−LINK:REALIZE-メギドラモン」

「グオォオオオオオ!!!」

「さぁ、反撃開始だよ」

真紅の魔竜メギドラモンが吼え、タクトが笑った。

転送されたロードナイトモンは誰もいない荒野にぽつんと1人で立ってる、それは目標地点から少し距離のある場所だった。OVERLOADの発動が確認され、発動地点に近い場所に転送を行うとディメンションにも何かしらの影響が及ぼされる可能性があるからだ。

「仕方が無い…」

まずはシールズドラモンにのいる場所を目指す事にした。

「現状は?」

目的地に着くとコマンドラモンが出迎えた。それを無視しずかずかと奥に進みシールズドラモンに聞く。

「OVERLOADの発動が確認された時、地中にかなりの高DP反応がありました。しかし今は全く反応が無いです、完全に遮断されてますね」

「先行したメタルガルルモンは?」

「拠点内にいるコマンドラモンの回収中です、もうじき戻って来るかと…」

ふぅ、とため息をつくロードナイトモン。ふとタクトに言われた事を思い出した

―ため息つくとさ、幸せが逃げるらしいよ?ま、ボクは自分から欲しい物は取りに行くからいいけどね。ルーチェモンの相手してたらため息が出るのは解るけど…

「私もルーチェモン様の幸せを掴みに行かねばならない様だな…」

一方、メタルガルルモンはと言うと。

「ダメですね、一度戻りましょう。マップも仲間が完成させてますし、直ぐ戻れますよ。通信機も壊れてますし、連絡も………」

「(仕方ないか…だがタクトが心配だ、とても嫌な予感がする…。そう、コレはオファニモンの機嫌が良い時の様な…)」

「聞いてます?」

「あっ、あぁ」

「ホントですか?しっかりして下さいよ。しかしこの電波障害鬱陶しいですねぇ…」

ブツブツ言いながら廊下へ出るコマンドラモン。メタルガルルモンも後を追い出ようとした時、電波障害も受け付けない、本能が警告を受信した。

「アハハハハハハハハッ!!」

メタルガルルモンが危険を察知し、素早く廊下に出、コマンドラモンを口に咥えて猛スピードで廊下を走り抜ける。後ろから聞き慣れた様な笑い声が聞こえたが振り向く事無く進む、いや、逃げた。

「な、何ですか今の!!」

咥えられたままのコマンドラモンがじたばたと暴れる、落ち着けと言う代わりに首を上下に揺らす。コマンドラモンも落ち着きを取り戻し、施設のマップを展開する。それを見たメタルガルルモンは直線コースで外に出られる様に壁に穴を開けていった。

「そんなに急がなくても、あ、あそこです!!」

入り口が目の前にある扉と同じものだったか忘れたが、とりあえず減速をしないために自分より速いミサイルを先に行かせる。爆音が響き、煙から光が差し込む、そのまま構わず通るとついに求めた外界が広がる。ここで安心したのが間違いだった。

「地下からの…!?」

気づいた時はメタルガルルモンとコマンドラモンは宙に浮いていた。

空から見た地上はぽっかりと穴を開け、施設を飲み込んでいた。そしてその穴から先ほどまで対峙していたカオスドラモンXが飛び出して来る。背中には白衣を着た人間が乗っている。

「勿体無い、勿体無い!!あぁ勿体無いよ!!」

カオスドラモンXの身体が穴に向けて傾く。アレが飛び出して来たと言う事は、タクトはまさか、そんな考えを巡らせながらメタルガルルモンは地面に激しく体をぶつけてた。

地面が急に盛り上がり、爆発が起きたのを見てロードナイトモンは直ぐにその方向へ駆け出した。

途中どこからか飛んで来たコマンドラモンをキャッチし、何故お前が飛んで来たのかを聞くとコマンドラモンは混乱した様子でまともに喋る事は出来なかった。救援の指示を出すとそこにコマンドラモンを放置しさらに進むと、何かがロードナイトモンの足を止めた。

「この力は…」

ロードナイトモンがカオスドラモンXを見つけた時、カオスドラモンXの背中に装備されている砲身が地面に開いた穴に向けて火を吹く。それと同時に何かが穴から出て来た。

「グオォオオオオオオオ!!」

超振動を起す咆哮。空気が揺れ、地面が裂け、放たれたハイパームゲンキャノンは目標に届く前に粒子に分解された。

「外に出たら逃げられるとでも思ったの?笑わせてくれるね」

穴からゆっくりと姿を現すメギドラモン。そこから聞こえた声は間違いなくタクトだった。

「ほぅ…REALIZEか、さすがルーチェモン様のお気に入りなだけはあるな。………ん?メタルガルルモン、無事だったか」

「ロードナイトモン…援軍か…タクトは…無事なのか?」

「お前よりは元気だ、少々元気すぎるがな」

「アレは…」

メタルガルルモンはふらつきながらも身体を起こし空を見る。タクトがその辺にいるのは解るのだが、明らかにタクトじゃない何かが目に入る。

「今の所は味方だ」

そう言ったロードナイトモンはそこから一歩も前に進もうとはしなかった。

「どーしたんだい?疲れて空を飛べなくなっちゃったのかな?」

「クソ、コアへの負担を減らしたら加えた能力を発動出来なくなったか!それよりその冷や汗、その力には限界があるんじゃないかな?」

「ふふ…ほらほら逃げないと当たるよぉおお!」

「グオォオオオオ!!」

タクトの声と同時にメギドフレイムが放たれた。が、カオスドラモンXは飛行能力を失ったものの、その巨体からは考えられない様なスピードはまだ健在だった。

「フハハハハハハッ!!まだまだまだ!!その程度の射撃じゃかすり傷も作れんよ!!」

いくつかの攻撃を避け、反撃を試みた時、カオスドラモンXに影が覆った。メギドラモンに真上を取られたのだ。

「うぉおおお!!」

「オオオオオオッ!!」

余裕を見せていた男の表情が凍った。急に全身を押さえつけられる様な感覚。メギドラモンのヘルハウリングがカオスドラモンXの動きを完全に止めた。さらにはカオスドラモンXを中心に広範囲に地面が砕け散り、さらに粉々になり砂になった。カオスドラモンXの足が砂場に沈み、音波攻撃に男は頭を抱えてうずくまり、パソコンの液晶モニターは砕け散った。

「メギドオオオオオオォォッ!!!」

さらにタクトは必殺技のメギドフレイムで決着を付け様とする、カオスドラモンXも、男も丸ごと消し去る、迷いは一切無かった。だが。

「まさかっ!!」

遠くから見ていたロードナイトモンが駆け出す、タクトも直ぐに自分の状況に気づいた。

「もぉちょっとだったんだけどなぁ…」

メギドフレイムを放つ瞬間、メギドラモンの体から光の粒子が漏れ出した。

「ごめんね…メタルティラノモン…」

やがてメギドラモンは光の粒子になり消えて行った。メギドラモンを失ったタクトには既に力も残ってなく、ただ空から落ちるだけだった。

「どうやらエネルギー切れの様だな、残念だが我々の勝ちだよ!!」

ロードナイトモンは猛ダッシュでカオスドラモンXに近づく。

「貴様ぁあ!!我が同胞に手出しはさせんぞぉ!!」

ロードナイトモンの叫び声が男の耳に入る、その声の方向を見ると思わずカオスドラモンXに後退の命令を出してしまった。距離的にはタクトを拾って逃げるだけの、そのままタクトに攻撃するだけの時間はあった。だがロードナイトモンの威圧感がそうはさせなかったのだ。

急いで砂場から足を抜き目を離さず後退する。ロードナイトモンはタクトをキャッチしようと急ぐが距離的に無理なのは分かっていた。無論叫んだからと言ってスピードも上がる訳が無い。

タクトはずぼっと音をたてて砂場に落ちた。

拾えなかった事を悔やみ、落ちた場所がそこで良かったと思いながらタクトに近寄る。外傷は無いが気を失っていた。

「ロードナイトモン、究極体・ウィルス種・聖騎士型デジモン、ロイヤルナイツに所属…必殺技はパイルバンカーを使ったアージェントフィアー」

少し離れた所から男が自分を冷静にさせる暗示の様にロードナイトモンについての情報を口に出す。男の手は少し震えている。

「まさかその子供のお友達だったとは、私のロイヤルナイツのイメージが少し変わったよ」

「私も今、人間に対するイメージが変わった所だ」

睨み合いは長く続かなかった。ロードナイトモンが一気に間合いをつめ、必殺技のアージェントフィアーを叩き込む。直撃を受けたカオスドラモンXは体をくの字にしながら後ろによろめき、その凄まじい振動で男は地面に落ちた。

「何をしている!さっさとそいつを」

最後の一言を言い切る前にガンと音がしてカオスドラモンXが体を大きくそり返して倒れて来た。男の口に砂が入った。

「終りだ。貴様は最初の参考人だからな、じっくり話は聞いてやる」

「まだだ!まだ私の!」

男の声に反応してカオスドラモンXがゆっくり動くが、あまりに遅すぎる動きはロードナイトモンの体から伸びている刃に串刺しにされて止まった。雑魚はじっとしていろ、ロードナイトモンから流れる空気がカオスドラモンXの活動を完全に止めた。全く容赦がないのはタクトと同じだが、ロードナイトモンはまた違った感じがしていた。

「残念だな、赤は赤でも私とは美しさの格が違うのだ」

オマエはピンクだ、アスカがいたならそう言ったに違いない。

「んぎいぃいい、援軍はまだか!援軍はっ!!」

まるで駄々をこねる子供の様にわめき散らす男は、ロードナイトモンにはとても。

「醜い…」

今だけでも黙らせておこうか、そう思った矢先だ。

「待てぃっ!!」

男の願いがかなったのか、それともたまたまか、ドコからともなく声が聞こえた。ただ男には分かっていた、援軍ではないと。

声の方向を見ると何かがゆっくりと、暑い太陽を背に歩いて来る。

「そこのピンク、貴様がこの地に蔓延る悪意の根源か!!我が正義に従い、貴様を討つ!!」

突然現れたデジモンは短刀をロードナイトモンに突きつける。いつの間にか手の届く間合いに入られていた。

「五月蝿い声…むさ苦しいオーラ…そしてその………GAKU-RAN、貴様」

「むさ苦しいとは何事だ!!貴様!!我が男気を感じる事も出来ないのか!!それに何だ!!貴様はこんなにひょろひょろなデジモンをいじめよって!!その曲がりに曲がった根性!!我が男気と正義で叩き直してやるわっ!!」

勘違いもいい所で、悪意の根源、いじめっ子、と言われたロードナイトモンはもちろんイライラしっぱなしだった。

「一応名乗ってやろう、我がはバンチョーレオモン!!自分の信じる正義に忠実に生きるモノだ!!」

名乗るのは好きにしてもいいがつばが顔に散りそうだ。

「下衆に名乗る名など無い」

その瞬間にロードナイトモンは動いていた。右腕がバンチョーレオモンの腹に入り、爆音と共にバンチョーレオモンが吹っ飛ぶ。そばにいた男はひぃと情けない声をだして身を屈めた。

「ち…防がれたか」

ロードナイトモンは自分の右腕の感触を確かめながらつぶやく、攻撃は確実に入ったと思っていたがGAKU-RANに防がれていた様だ。その証拠にバンチョーレオモンは無傷で立っていた。

「貴様…我が背中に羽織っているこの物理攻撃を89.9%無効化する防御機能が備わっているGAKU-RANに不意打ちで放った必殺技が防がれたと思っているな?甘い!断じて甘い!貴様の攻撃などバンチョーには届かん!!GAKU-RANなど使ってはいない!!コレは我が男気、気合のガードだ!!」

「な…」

誰もが思ったであろう。

「ココでGAKU-RANの説明…だと」

「不意打ちなど卑劣極まりない!!貴様の拳はその程度か!!受けてみろ!!我が気合の拳!!」

バンチョーレオモンの拳が光り輝く、まぶしい、まるで暑くさんさんと光り輝く太陽の様だ。

「ふん、少しは美しさと言うものを知っている様だな。面白い、受けてやろう」

「フラッシュバンチョーパンチッ!!!!!!」

ロードナイトモン目掛けて光の拳が飛んで来る。ロードナイトモンは地面に背中の刃を突き刺し自分を固定する。心を鎮め、一点のみを集中する。あとはただ撃ち貫くのみだ。

「アージェントフィアーッ!!」

お互いの渾身の拳がぶつかり合った時、眩い光が飛び散った。




続け!!




後書く
どーでも良い絵とお届けするのは数年放置したのではないかというオリジナル小説
ホントね、出来てたんですけどね、5割くらい…
最近何かネタが無いかと探してたら掘り起こしてしまい、ちょろちょろと書き足したり消したり…
これからどうするんでしょうね、行き当たりばったり…

個人的につっこむとしたら
あれ?もう終わり?

え?あいつ放置?

ちょ、何こいつ

の3本です…

しかし一気に縦長になった気がする…