「信じることは、悪いことなんですか?」
まじめな口調、真剣な目つき。彼の言う言葉にやましい感情は一切ない。
「そうはいっていない。だがね、君が信じていることは・・・」
と、相手の男の言葉をさえぎって、
「私は信じているんです!何故信じてはいけないのですか?人に迷惑もかけているわけではありません!」
またこれなのだ。さっきからこれの繰り返し。
ついに相手の男は控えていた別な男と交代した。
「後は頼むよ。今の時代だからこんな妄想になるのかな。おもちゃの世界があると思う妄想なんてよ。」
「デジタルワールド・・・とか言ってたな・・・やれやれ、おもちゃ業界も複雑な設定つくるから、こんな患者が出るんだ・・・」
白い白衣を着た男たちは控えるときにそんな会話をし、先ほどからずっと真剣な顔を崩さない青年に歩み寄る。
この世は証拠がなければ人は信用しようとしない。あの青年も証拠を見せようと研究していたが、近所のだれかの手配でこの精神科にきてしまった。はたして、どちらが間違っているのであろうか。それは、その人が信じることによって違う。