僕は夏が好きだ。
プールや海に行けるから?違う。
花火や肝試しができるから?違う。
確かに夏の醍醐味であるし、僕はそれらが確かに好きだ。
だけれど。
僕は、夏に雪が降っててきたり、オーロラが見えたりすること。
霧の中に入ったら、この世界ではまずお目にかかれないような怪物がいること。
携帯に突然、始めるか否かのメールが来ること。
公園であきらかに地球の生物でないものと喧嘩をすること。
そんなふうになったらなぁ、と毎日思っている。そして、その思いが期待に変わる季節。それが夏。
ポケットの中に手を突っ込むと、手のひら大の機械がある。僕はその画面をみて言う。
「今年は、そっちの世界で一緒に冒険できるといいね。」
中にいる生物……そう、友人のような子供のような、でもそれとは違った絆でつながっている、僕のパートナー。
今年は、彼らに会えるかな。それが、今夏で一番楽しみなことだ。