僕は彼に育てられていた。
彼は僕らを育てるテイマーであり、こまめに僕らの世話をしてくれた。
腹がすけばすぐ肉を、運動したいといえばトレーニングに付き合ってくれた。
ウンチが出ればすぐ流してくれる。
・・・ただ、僕が他のデジモンたちと違うのは、昼間も寝てしまっていることだ。
僕の活動時間は極端に少ない。
夕方から寝るまでにかけてだけだ。
彼がいつかボソッとこぼした話によれば、学校といって、勉強以外は絶対に許さないような場所らしい。
そんな場所、行かなければいいのに・・・
一度そういおうと思ったことがあったけど、彼の申し訳なさそうな顔を見たらいえない。
彼は、僕を必死に育てるテイマーだから・・・
だから僕は彼に短い時間でも笑ってくれて、育ててもらえて幸せだった。

それは突然やってきた。

もう彼が来てもいい頃なのに彼は来なかった。
どうしたんだろう・・・彼は・・・
僕らはしばらく彼を待っていた。だけどいくら待っても彼はきてくれない・・・
もう・・・眠いよ・・・

朝になった。疲れが取れてない点、寝苦しかった点で、彼が電気を消してくれなかったことはすぐ分かった。
ウンチもたまってる。腹も減った。体がたるんできた。
彼は・・・何故来てくれないのだろう・・・
ずっとずっと、そんな中で時間が過ぎた。
僕は涙を流しながら眠った・・・

次の日の朝。
寝苦しくて起きたのは昨日よりも遅い。
だけれども、相変わらずたまる排泄物、飢えてなる腸、うずく筋肉。
僕は・・・病気になったらしい・・・

その日の夕方だった。
見知らない人が僕を持って急にどこかへつれてきた。
なんだか暗いところに詰め込まれた。
しばらく病気で意識が朦朧としている。
そして明るくなったと思うと、さっきの見知らぬ人が僕を持っていった。
木の箱・・・そこに僕は近づいていった。
一体・・・どういうことだろう・・・
そして、僕は箱の至近距離まで近づいたときに分かった。
彼が・・・いた・・・
たしかに彼だった。だけどいつもとは違う・・・僕に見せていた微笑は無かった・・・
青白く、希望をなくしたような瞳。
どうしたの・・・へんじしてよ!
僕はその箱の中に入れられた・・・もう・・・だめだ・・・
僕はその時、命の限界を悟った。


「あ・・・あ・・・」
見間違いではない。たしかに彼がいた。
「待たせてゴメンね。本当にゴメン。もうあえないかと思ったけど・・・」
申し訳なさそうに彼が言う。
「あ・・・僕、ずっと待ってた。信じてたんだ。きっとまたあえるって。いや、絶対一緒にいるんだって!」
力を込めていった。彼は微笑んだ。
「それは同じだよ。だから無理してここまで来たんだ、この、僕が来るべきではないダークエリアにね。」
「え・・・?」
彼がいったことはすぐには分からなかった。
「やっと・・・夢見ていたデジタルワールドにこれたみたいだね・・・」
そういった彼の足は、データとなって上へと伸びて・・・
「そ、そんな!せっかくあえたのに・・・!」
嫌だよ、嫌だよ、行かないで!でも嗚咽になって言葉にならない。でも、彼はまた笑った。
「大丈夫だよ、また、新しい命になるとき、きっとまた会えるさ。」
「ほ、本当・・・?」
僕は本当にそうなら、どんなにうれしいだろう・・・
「ああ、本当さ。約束するよ。」
すでに消えかかったてで、僕の手を持った。
「きっと・・・またあえるよ・・・」