目の前にいる敵。濃いシルエットで覆われてはいるが、 その敵の強さは知っている。 「ストレングス・・・いけるか?」 武器を採集している途中偶然会ってしまった敵だ。だが戦うしかない。 逃げるわけにはいかない。 「ああ。任せてくれ。」 ウォーグレイモンである彼はしっかりとした返事をした。 その声に目の前の敵に対する恐怖は微塵もない。俺は再び敵を見た。 きっと・・・勝ってやる・・・ 「・・・いくぞっ!」 俺はデジモンアクセルをポケットから取り出し、 力をこめてグリップを握り続ける。 「うぉぉぉぉぉおおおおおおおっ!」 ストレングスは自分のうちからあふれてくる力を感じ取った。 「ブラストッエボリューションッ!」 彼の姿が少し変わった。だが今の彼は、 通常の究極体より上の存在となっている。 「コウジ、武器を!」 「ああっ!」 俺はある武器を選択する。 するとウォーグレイモンの爪先が、角が、バリバリと音を立て、 青い稲妻を帯びる。 ジャキン、とドラモンキラーを構える。次の瞬間だ。 「ウォオオオオオァ!ウェポン!ライトニングブレイドォッ!」 手の中に青いイナズマをまとわせた、超高密度エネルギーを掲げる。 「ガイアフォォオオスッ!」 バンチョーレオモンを一撃で倒した攻撃だ。 この攻撃でいろいろなデジモンを倒してきた。 だが、今回はそうは行かなかった。 やつはあっさりとその攻撃をすれすれでよけた。 炸裂した場所の空気がゆがみ、すぐ砂埃が立ち込める。 「来る!」 やつは砂埃の中で攻撃を出してきた。 ウォーグレイモンに視界に、邪な感じをさせるデジタル細胞が広がる。 「くっ・・・」 彼はすぐにブレイブシールドで防いだが、防ぎきれない。 手痛いダメージを追ってしまった。 「大丈夫か?ストレングス!」 俺はそういった。すると、 「ああ・・・まだやれるっ!」 ドラモンキラーを構えて突進していく。 ある程度の距離まで近づくと、空中に飛び上がり、 砂埃がおさまって姿が確認できた敵に、 自らの体を回転させ、突っ込んでいく。 「グレートトルネェェードッ!」 爪先の電撃部分の明るさがましてきている。 きっと力を集中させているのだろうか。 「がんばれ・・・がんばれ!ストレングス!」 ギュルルルルルル・・・ 敵は片手で彼の攻撃を防いでいた。 「そんな・・・」 俺は相手の強さに圧倒されそうになった。だが、 「あきらめるな!俺は・・・まだやれるっ!」 回転力が急激にます。そして爪先の電撃は先ほどよりも強い光を放つ。 ギャギャギャギャギャギャ、と音を出し、敵の左腕から伸びる剣を折り、 そのまま左肩まで貫通していく。 「ギ・・・」 敵はやっと声を出した。だが不気味な声だった。 怪しく光る眼に、ストレングスが映し出されていた。 「「・・・はっ!」」 やつはウォーグレイモンが空中で回転力を落とす隙を突いた。 また右手から、異様な印象を残す、 デジタル細胞を俺のパートナーに向かって打ち出した。 「うがぁっ!」 もろに攻撃を受けてしまった。 俺は彼のもとに走っていった。敵に近づくことになるが、 そんなことはかまわない。考える暇もない。 「おい・・・!」 傷ついた体に触れる。 「ぅ・・・うぅ・・・」 「無理はしないでくれ。頼むから!」 「無理・・・してるわけじゃあないんだ・・・俺は・・・ お前と戦うことが当然のことなんだ・・・ 任せておけ・・・」 ぼろぼろになりかけた体を無理に起こし、全ての力を手に集中させる。 次の瞬間、彼はやつのすぐ近距離まで迫っていた。 手には電撃をまとわせた高密度エネルギー弾。 それは時間とともに拡張を続ける。 「くぅらえぇぇええええええっ!」 あたりに爆音が響きわたる。 耳を防ぎたくなるような大きさだ。 だが俺はそんなことよりも彼が心配だ。 「ストレングス!ストレングス!」 煙が晴れてくる。 一人歩いてくる、傷ついた竜人デジモンを俺は見る。 「ああ・・・」 「コウジ。」 「ありがとう。ストレングス。」 俺は信じている。 パートナーとテイマーの心はたとえ携帯機だろうがパソコンだろうが、 そこにデジモンがいれば、 意思はとても近いところにあると。 後書き シルエットデジモンとの激闘。 いやぁ、よくがんばってくれた、彼は。 ちなみにストレングスはウォーグレイモン。 本当にシルエットデジモンとよくやってくれた。そうおもう。